先月末、荷物引き上げのプチ引越の疲労で風邪をひき、咳が結構ひどくて、シェフの引越先泊まり込みで一人きりの数日間グダグダ寝ていた時に起こった突然の大パニック事件。
9月4日仏滅、午後2時を回った頃まで寝ていると(風邪で昼間寝ていると夜寝つけなくて)、網戸越しのすぐ外の3階建てケージのリカちゃんが「ニャーニャー」とご飯と散歩の催促。
で、いくら何でももう活動開始せねばとベッドから起きて、先ず部屋の中の子たちの世話をして、私のためにカップヌードルの用意をしている間にもまた2度ほどリカちゃんからの催促。
ヌードルが伸びちゃまずいと先に自分が食べていると、ワイドショーにソーリが生出演というので、まあこれは見とくか、と30分程テレビ見て、4時頃やっとご飯を持ってリカちゃんの元へ。
ケージのリカちゃんは今や遅しと私の方を見て向かえてくれると思いきや、最上階で背中をこちらに向けて丸まって寝ている。
「リカちゃーん、お待たせ」と言ってケージの扉を開けようとした瞬間!!
「ギャーーーッッッ」という恐ろしい叫び声が。
まさか、今ちょっとケージが揺れただけでリカちゃんの身に何か危害が?
どこかが挟まっている?
慌ててリカちゃんの様子を見ると、ケージの縦枠を爪を出した両手で掴んでる。
特に挟まっているようなことはない。
でも体を硬くして丸くなったりのけぞったりジタバタしたり、時折ギャーーッと叫ぶ。
もう大慌てでリカちゃんの寝ている布団ごとケージから引き出し(カリカリを大量に吐いてた)、地面に寝せて何が起こっているのか観察。
顎の下に少し毛が剥げて赤くなったところがある。
さては風呂場の窓格子から脱出した要領で、狭いケージの枠の隙間から出ようとして首が絞まって窒息したのか、と思って、即人工呼吸開始。
でもすぐに自発呼吸と心拍の確認が先だと気付いて調べると心音も呼吸もちゃんとしている。
しっかりしてとさすったり背中をたたいたりしても、リカちゃんは目をカッと開いたまま(瞳孔はどちらかと言えば縮瞳)、手足を突っ張ったり、拳を握って口の中につっこんだり、手首を咬んだり。
口の中に何か詰まっているのか調べたくてもとても手が付けられない。
これまで猫のてんかん発作は見たことあるけど、指圧していると1分以内に治まったものでした。
これは尋常のことではない。
今にも瞳孔が開いてそのまま死んでしまうのではと思うと、病院に行く準備のためにリカちゃんから離れることも出来ず。
何分くらいか分からないけど、背中の指圧などしていたけど、意を決して病院へ。
トッピーの乗ってるハマ吉号を出すのは時間がかかるので軽トラで。
キャリーもなくそのまま座席に寝かせ、私はと言えば靴下左右バラバラ、Tシャツも作業用のみすぼらしいものなのも構わず、発車して道中も左手でリカちゃんを撫でさすりつつ、5分程で病院到着。
ラッキーなことにいつも満車が多い駐車場はがら空き、他の患者さんも丁度いなくなって、受付から先生がリカちゃんを見るなりすぐにカウンター越しに受け取って診察して頂けました。
処置中に中に入れてもらえて様子を見ると手から点滴、もう痙攣は治まっていましたが目は開いたまま、荒い呼吸。
血液検査の結果、アンモニア値が振り切れるほどの高い値だとのこと。
それ以外には特に原因となるような異常な数値はなし。
これまで肝臓に異常などもなく、昨日まで便がちょっと緩い位で食欲もあったのに、何で突然こんなことが。
病気、毒物どの線から考えても原因は全く思い当たらない。
まさかうちの猫を疎ましく思う誰かが毒を?
わざわざ庭の一番奥まで入って来て、そこにリカちゃんのケージがあると知ってて?犬にも吠えられず?いくら何でもちょっと考えられない。
アンモニアは脳に対しては猛毒なんです、と先生の説明。
血中アンモニア値を下げる薬はなく、点滴して排尿によって体外に出すしかないとのこと。
後で近所の看護師さんに聞いたら、浣腸もするそうです。
とにかく排泄によって出すしかないのは人間も同じとのこと。
一旦帰宅して病院の閉まる頃また面会に。
アンモニア値は一気にかなり下がってはいましたが、まだまだ異常値、意識のない状態は変わらず。
命も危ないし、もし今の危機を脱しても脳がダメージ受けてて意識回復せず寝たきりになるかも知れないとのこと。
入院させてもらっても夜間は無人になるし、心肺は正常なので点滴などの措置は不要とのことなので、ならば家で見守ってやろうと連れて帰りました。
万一また痙攣が起こった場合にと座薬を、目を閉じないので、乾燥防止に眼軟膏を貰いました。
体はぐにゃぐにゃ、グッタリして呼吸がすごく浅く速い。
夜9時頃帰宅してから深夜までほぼずっとつきっきりで背中のツボを指圧し続けました。
耳や手足の指も。
耳を触ると時々自分で耳をピクッと動かす反応がありました。
2時間ほどすると呼吸が少しずつ落ち着く方向へ。
0時前、体位交換すると、ちゃんと目を開けて大きな澄んだ声で「ニャーン」と鳴きました。
痙攣していた時には縮瞳していたリカちゃんのきれいな青緑の目に丸い瞳が。
手は何とグーパーもし始めました。
ああー、もう大丈夫だ~~。
昼間ご飯をねだってると思った時は、何か不安を感じて私を呼んでいたのでしょう。
心なしかいつもより強い声で鳴いていました。
すぐに行ってやっていたら、リカちゃんがまだちゃんとしていた時の顔を見られたのに、いや、こんな事が起こってなかったかも、とすごく後悔して、もう2度と見られないのかと思ったリカちゃんのきれいな目。
それから痙攣は1度も起こらず、夜の内に2、3回フラフラと立ち上がってよろけながら歩けるようになりました。
1回トイレで大量のおしっこ。
次の朝一番で病院に行き検査したらアンモニア値はほぼ正常に下がっていました。
私は全然気付かなかったけど先生の観察では「もしかしたら目がよく見えてないのでは」とのこと、目の前にパッと手を持って行っても反応なし、床を歩かせて見たら一応ぶつからずに歩くものの、猫はヒゲで障害物を感じるので、それだけでは目が見えているとは言えないそう。
補液のみで帰宅。
その後リカちゃんは順調に回復、食欲がすごい、目も見えてるようです。
一体原因は何だったのか、大きな謎です。
原因が不明ということはそれを取り除けないので、もしかしたらまた起こるかも、ということです。
取りあえず、もう外のケージには戻さないことにしました。
これまでの猫に関する出来事の中で一番こわい体験でした。
生きること、死ぬこと、命ってこんな恐ろしいものかと。
ただ、あのすさまじい痙攣を鎮めてくれた医学は素晴らしい、と思います。
9月4日、危うく「急死」の日になるところを「九死」に一生の日にすることができました。